骨粗しょう症の治療は日本骨粗鬆症学会認定医におまかせください。
骨粗しょう症とは
骨の量(骨密度)と骨の質(しなやかさ)が低下して、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気のことで、予防や治療が大切です。骨折は背骨(脊椎)、太もものつけ根(大腿骨近位部)、手くびなどに生じることが多く、特に太ももの付け根を骨折すると、寝たきりになってしまう可能性があります。また、背が縮んできたり(低下してきたり)、背中が丸まってきた方は、「いつのまにか骨折」とも言われる脊椎圧迫骨折をしていて、さらに変形が進むと、内臓諸臓器(逆流性食道炎、便秘、心肺機能低下など)に悪影響を及ぼすこともあります。身長が2cm以上低下している場合には検査をすることをおすすめします。検査は、身体測定、単純X線検査、血液検査、骨密度測定などを行います。治療は生活習慣の改善(運動療法、食事療法、日光浴)を行うことが基本で、合わせて薬物療法を行っていきます。
診断・検査
単純X線検査
腰(腰椎)や背中(胸椎)を撮影します。骨のスカスカ具合いを見たり、「いつのまにか骨折」がないかを調べます。また、太ももの付け根(大腿骨近位部)も撮影することがあります。
血液検査
血算、生化学、骨代謝マーカー(骨形成マーカーと骨吸収マーカー)などを測定します。
- 血算・生化学・・・からだ全体の異常がないかを調べます。
- 骨形成マーカー(P1NP)・・・骨を作る働きを調べます。
- 骨吸収マーカー(TRCP-5b)・・・骨を壊す働きを調べます。
骨密度測定(DXA 法)
腰(腰椎)と太ももの付け根(大腿骨近位部)の両方の測定をおすすめします。手術で金属が入っている場合などは手くびを測定します。骨粗しょう症のガイドラインでは、かかとや手で計測する方法より、DXA法という方法で、腰と太ももの付け根の両方を測定することを推奨しています。
骨密度測定検査について
当クリニックの骨密度測定室はX線室とは別部屋のため、検査はいつでもできます。(予約不要)
治療
運動療法
骨を丈夫にするためには、適度な力学的負荷をかける必要があります。1回20分以上のはや足のウォーキングやジョギングといった有酸素運動がおすすめです。また、転倒して骨折するのを防止するため、週2回以上の体幹(腹筋や背筋)や下肢筋力の強化、バランス運動やストレッチ運動を行うことが有効です。
食事療法
カルシウム(1日:800mg)、ビタミンD(1日:600~800IU)、ビタミンK(1日:250~300μg)の摂取が推奨されています。また、たんぱく質やビタミンB6やB12、葉酸、マグネシウムの摂取なども大切ですが、バランスのよい食事を心がけてください。
カルシウム(乳製品、大豆、青野菜)
- 牛乳200ml―220mg
- 納豆40g(1パック)-36mg
- ヨーグルト100g―120mg
- 豆腐75g―90mg
- 小松菜80g―136mg
ビタミンD(魚、キノコ)
- サケ60g―768IU
- サンマ60g―456IU
- きくらげ5g―880IU
ビタミンK(納豆、小松菜、ほうれん草、ブロッコリー)
- 納豆40g(1パック)-348μg
- 小松菜80g―168μg
- ほうれん草80g―216μg
- ブロッコリー50g―80μg
日光浴
1日15分程度の日光浴が推奨されています。カルシウムの吸収には活性型ビタミンDが必要ですが、紫外線に当たると皮膚で合成されるためです。日光浴がむずかしい方や日焼けをしたくない方はご相談ください。
薬物療法
血液検査で、骨吸収マーカーと骨形成マーカーを調べることで骨代謝(リモデリング)を評価し、その結果などを元に、下記のような治療薬からそれぞれの患者さんに合った最適な薬を選択いたします。
- 骨吸収を抑制させる薬(ビスホスホネート製剤、SERM(選択的エストロゲン受容体作動薬)、デノスマブ)
- 骨形成を促進させる薬 (テリパラチド)
- 骨吸収の抑制と骨形成を促進させる薬(ロモソズマブ)
- 骨代謝を調整する薬(活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、カルシウム製剤)
骨のリモデリング
骨は骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞という細胞などからできています。
破骨細胞は古い骨を壊して(骨吸収といいます)、骨芽細胞は新しい骨を作って(骨形成といいます)、常に少しずつ作り替えをしています。このことを骨のリモデリングといいます。骨粗しょう症は、破骨細胞が骨芽細胞より働いて、骨が壊されすぎている状態ですが、骨形成マーカーと骨吸収マーカーの測定はこの状態を調べるために行います。