整形外科の漢方薬とは

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なかなか治らない慢性的な腰痛や手足のしびれ、関節痛に対し、漢方薬治療という選択肢があります。また、ぎっくり腰や、こむら返り、筋肉痛、打撲や捻挫などの急性の症状に対しても、漢方薬が有効な場合があります。漢方薬というと、すぐに効き目が表れないとか、高価であるというイメージがあるかもしれませんが、現代では症状に対する効果的な生薬の組み合わせや使用法が確立されていたり、保険適用されるものが多数あったりと、整形外科の領域でも、非常に有効な治療法の一つとなっています。

こんな時に漢方薬が有効な場合があります。

漢方薬の処方について

骨折や靭帯断裂などの外傷や、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、後縦靱帯骨化症などの慢性的な脊椎疾患、さらには細菌やウイルスによる感染症などは、西洋医学による診断、治療をしっかりと行うことが基本となります。その上で、患者さんそれぞれの体の状態を整え、その人が本来持っている、『自然治癒力』を高める漢方薬の処方を行っていきます。 そのためには、一人ひとりの体質や病気の状態によって最適な薬を選んで組み合わせていくことが重要であり、たとえ病名が同じでも、同じように処方した薬の効き目が、同じであるとは限りません。その為、その人ごとに体質や病歴など、身体の状態をじっくりと診察し、処方していく必要性があります。

漢方薬は、使用する分量や組み合わせの条件が細かく決められており、医薬品として正式に認められたものです。医療機関で使用されるものの多くは健康保険が適用される「医療用漢方製剤」で、約150処方が承認されています。また日本では漢方薬と西洋薬を一緒に処方することができますので、当クリニックでは医師が一人ひとりの患者さんを診断し、幅広い選択肢の中から(整形外科の領域では約20種類の漢方薬があります)、必要に応じて処方をしていきます。

漢方治療とは

「漢方」とは、中国の伝統医学である中医学をもとに、日本独自で発展したものです。日本に中医学が伝来したのは、5~6世紀ごろといわれており、そこから、日本の気候や風土、日本人の体質や生活習慣に合わせ、発展し、確立されてきました。現代の医学でも認められている漢方は、日本の伝統医学ともいえます。江戸時代以降に主にオランダ人医師から広まった西洋医学が「蘭方」と言われるになったことに対して、それまでの日本の伝統医学は「漢方」と呼ばれるようになりました。

漢方において処方される漢方薬は「生薬」と呼ばれ、自然界にある植物や鉱物などを原料としたものです。原則として複数の生薬が組み合わされており、組み合わせによる効果や禁忌は、長年にわたる経験により、処方が体系化されています。これらは体の状態やバランスを整え、人間それぞれが本来持っている『自然治癒力』を高めることで、身体を健康な状態へと導きます。